子どもの事故を予防するためのグッズまとめ!!
お子さんがいらっしゃる家庭では、日頃からひやっとしたりはっとする様な事故が絶えないと思います。4歳男児と6か月男児がいるハリー家も、毎日がサバイバルです。小児救急医は小児科医と救急医を合わせた仕事で、小児科医の目線と救急医の目線を持ちながら患者さんを日々診ています。子どもの発達段階についても得意ですし、怪我をした時の縫合をしたり骨折の固定をしたりなどの対応もしています。子どもの怪我の多くは軽傷なのですが、中にはちょっとした家の中の事故で重傷になったり命を落としてしまうこともあります。最近では、窓から2歳の双子の兄弟が転落して死亡してしまった事故が発生してしまいました。こういう事故は以前から時折発生してしまっていましたが、なんとかして予防しなくてはなりません。
子どもの事故の予防の第一人者に、山中龍宏先生がいらっしゃいます。この記事にもある様に、世界保健機関(WHO)は「製品(Engineering)・環境(Environment)」と「教育(Education)」、「安全基準の法制化(Enforcement)」の3つの頭文字をとって事故予防のために変えるべき「3E」としています。よく昔から子どもの事故が起きた時に、その時にお子様といたお母さんやお父さんに、「なんで目を離していたの!」と怒鳴ったり、「今度から気を付けてください」と指導したりする医療関係者が中にはいらっしゃいます。これは3Eの中の「教育(Education)」にあたるのか?と言われると、自分は違うと思います。子どもから一時も目を離さないで子育てをするのは不可能です。今公衆衛生を学んでいる身としては痛いほど分かりますが、「安全基準の法制化(Enforcement)」までには時間がかかり過ぎます。「3E」の中で明日から、いや今から変えられるものは「製品(Engineering)・環境(Environment)」です。お子様のために変えられるものはすぐに変えていきましょう。
日本小児科学会では、Injury Alert (傷害速報)という身近にあるもので起きた子どもの事故をまとめたサイトがあります。小児救急で子どもを診察していると、本当に「こんな事故が起きるのか??」ということがしょっちゅう起きていますが、そういう事例が多くまとめられています。興味ある方は是非見てみてください。
例えば、首浮き輪による溺水。首浮き輪は首の座っていない乳児でも水中で浮かんでいられて、しかも可愛いとマスコミやSNSで紹介され、ブームになった時もありました。しかし同時に、首浮き輪によって溺れてしまうお子さんも複数件発生しています。中には寝たきりになってしまった子や、亡くなってしまった事件も生じました。
その他にも、電気ケトルによるやけどの事例や、歯ブラシでのどを刺してしまった事例など、物を変えれば防げた可能性がある事故も多くあります。これらの事例に対して様々な商品メーカーが多くの対策用品を作成しています。以前投稿しました、「家庭でも起きる、怖い電撃症の話!!」でも、家の中で起きるコンセントに関連する電撃症に対してコンセントカバーを推奨するお話をさせていただきました。それ以外にも今売っている多くの子どもの事故予防グッズをここで紹介したいと思います。
窓やベランダから転落して死亡する子どもの事例は年10-15件発生しているそうです。今回起きてしまった双子の死亡例は2歳でしたが、その多くは1-4歳とのことです。この年齢層でも、自分の身長より高い120-140cmの高さの柵を越えられる上に、今回の事例の様に足台を自分で持ってきてさらに高い柵も越えられる可能性もあります。実証実験によると、例え保護者が家の中にいたとしても、お子さんによっては5秒程度で柵を越えられるので、お子さんが柵を登ろうと気付いたとしても阻止できずに乗り越えて転落してしまうかも知れません。
窓とベランダで対応策は変わりますが、窓の場合はねじタイプや突っ張り棒タイプの柵が一番良いと思います。100均で売っているものもありますが、かなり強度を強くできるものもあります。大人が懸垂できるほど強度が強いものもあり、自分の家にもあります。ベランダの場合は、子どもが届かない高さ(大人が手を伸ばしてやっと届く程度の高さ)に補助錠をつけることが良いかと思います。また、窓の近くやベランダには足台になる様なものを置かないことも対策になります。
電気ケトルのやけども数多く発生しています。消費者庁も注意を呼びかけております。小児救急では電気ケトルを含めたやけどの患者さんが増えてくると、冬を感じます。例え電気ケトルをお子さんの手の届かないところに置いていたとしても、コードに足を引っ掛けたり手で引っ張ったりしてやけどしてしまう例があります。見た事がある人も多いかと思いますが、倒れてもお湯が出ない設計の電気ケトルが発明されています。すべての電気ケトルがこのタイプになることを望むばかりですが、お子様のいらっしゃる家庭にはこの電気ケトルを持っていただくことを強くお勧めします。↓のケトルはさらに蒸気による熱傷予防にもなります。
歯ブラシでのどを刺してしまう事は1−3歳頃に特に多いです。多くは立った状態で自分で歯磨きをしていて、口に咥えたまま走って転んで歯ブラシをのどを刺してしまうケースです。この時、かなりのエネルギーがのどにかかってしまうため、当たりどころによっては重傷となってしまう場合もあります。歯ブラシが深く刺さり手術でないと摘出できない例もあります。扁桃腺の裏側には太めの血管があるため、そこに当たると大出血を起こしたり、血栓を作って脳にダメージを起こしたりする例もあります。一見軽症でも、数日後に感染を起こしてしまう例もあります。この対策として、今ではだいぶ有名になりましたが、グッドデザイン賞を獲った曲がる歯ブラシがあります。自分の子どもにもこの歯ブラシを使っていました。普通の歯ブラシと比べると少し高級ですが、じっとして歯ブラシができない年齢のお子さんには、この歯ブラシが良いと思います。
まだまだ紹介したいグッズはたくさんあるのですが、長文となってしまうため今回はこれくらいにしようと思います。何か気になることや質問などある際にはお問合せフォームでいつでも連絡ください。こんなグッズあるよ、なんて情報も嬉しいです!よろしくお願いします。
それではまた🪥
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